フューチャーカード 神バディファイト　第43話

優子は言った。「結局誰も絶頂していないんだよね。＊（アヌス）も出てこないし。絶頂したふりだけ。このアニメにでてくる男たちは、みんなただの絵。呼吸もしない人間が、絶頂なんかできっこない。それはとても悲しいよね」
優子の話にすっかり退屈した武藤はコーヒーにひとつ、角砂糖を追加した。
「わたしね、」優子が続ける。「悲しいのは、その人が決めることじゃないと思うの。つまり主観じゃなくて、客観なの。このＢ－project ～絶頂＊エモーション～は誰が何と言おうと悲しいわ。醤油を醤油と気づかずに、コーヒーと信じて淹れつづけたカフェのマスターくらいに悲しいわ」
優子はアニメにすごく期待しているのだな、と武藤は思った。そして期待に裏切られるカタルシスに酔っている、とも思った。俺はアニメなんか見ないし、現実に、可愛い男の良く締まる＊（アヌス）さえあれば、そこに悲しみを挟む余地なんてない。